ようやく春の到来です。春は生命の躍動が始まる時期で、さまざまな生き物が冬の冬眠から目覚めて成長、発展する季節ですし、今月の下旬ころからは桜前線の北上も始まります
“暑さ寒さも彼岸まで”という言葉がありますが、花冷えや寒の戻りという言葉があるように暖かいと言ってもまだまだ油断は禁物。特にこの時期の体調不良は「冷え」が原因になっていることが多いのですが、春先は「木の芽時」といって、冬に蓄積されたエネルギーが一気に血液中にあふれ、身体の衣替えが行われる時期なので体調を崩しやすいのです。陰陽五行では「春」には「肝」が配当され、「肝」が最もよく働く時期ですが、反対に疲れをためやすい時期でもあります。そこで、食生活や日常の生活習慣を見直すことも大切になってきます。
また、漢方ではこの時期に多くなる風邪や花粉症なども身体の自然な排毒反応と考えます。「肝」で浄化できない老廃物を菌の力で一挙に浄化しようというのが風邪で、花粉症もまた呼吸器を使って体内毒素を吐き出そうという自然治癒力の働きと見ることができます。
「昨年までは花粉症で悩んでいたのに、今年は何でもない!」という方がいらっしゃいますが、これは生活習慣の見直しで「肝」の働きがスムーズになっているものと考えられます。
春の気を取り入れる食べ物としては、揚げ物や脂っこいものよりも緑黄色野菜。ほうれん草や小松菜、春菊やパセリ、ニラなどカロチンや食物繊維の多い野菜がおすすめです。また、菜の花のほろ苦さが春先にはなんとも美味しく感じられますが、それは体が欲しがっているからです。そして、ヨモギやフキ、竹の子、タラの芽、ノビルなどの野草にはビタミンやミネラル、食物繊維、酵素などが多く含まれ、身体に滞った汚れを排泄してくれますので、旬のこの時期に春の息吹を美味しく取り入れて、楽しい春をすごしましょう!